フィンランドのコーヒー文化に欠かせない菓子パンが「プッラ(Pulla)」です。小麦粉と砂糖で作る甘い生地に、たっぷりのカルダモンを練り込み、三つ編みにして焼く——仕上げに粒砂糖(パールシュガー)とアーモンドを散らした、やわらかく香り高い一品です。この記事では、プッラとは何か、「ニス」から「プッラ」へという名前の由来、そしてコーヒーと共にある文化を、出典を確認しながら整理します。
プッラとは何か
プッラは、フィンランド語で「菓子パン・バン」全般を指す言葉でもあり、小麦粉と砂糖で作る甘い酵母パンの総称です。なかでも代表的なのが、カルダモンを効かせた甘い編みパン。ふんわりやわらかく、芳しい香りが特徴で、表面に溶けにくい粒砂糖とアーモンドスライスを散らして焼きます。
このパンを「プッラらしく」しているのが、カルダモンです。粉末より、ホール(さや)の種を挽いて使うと、香りが格段に明るく華やかになります。
図:プッラの特徴
「ニス」から「プッラ」へ
このパンには、古い呼び名「ニス(Nisu)」があります。ニスはスウェーデン語に由来する言葉とされ、かつてフィンランドではこの名で呼ばれていました。
その後、フィンランドが自国の言葉をより「フィンランドらしく」しようとする流れのなかで、スウェーデン由来と感じられた言葉が見直され、このパンの呼び名も「プッラ」へと変わっていったと伝えられています。なお、「ヴァイキングがカルダモンを持ち帰ったのが始まり」という話も見かけますが、これは裏づけの弱い言い伝えの域を出ません。確かなのは、カルダモンの甘い編みパンが、フィンランドの暮らしに深く根づいているという文化的な事実です。
図:呼び名の移り変わり
コーヒーと共にあるパン
プッラは、フィンランドのコーヒー休憩に欠かせないお供です。焼く直前に溶き卵を塗って(ときに濃いコーヒーを塗ることも)つやを出し、粒砂糖とアーモンドをのせて焼き上げます。
フィンランドでは、プッラはコーヒーと一緒に楽しむのが定番。カフェや食堂では「プッラのおいしさが店全体の質の目安になる」とまで言われるほど、暮らしに根づいた存在です。甘く香るひと切れとコーヒーの組み合わせは、北欧の休息の象徴といえます。
図:コーヒーのお供に
日本の家庭での活かし方
プッラは、いつものパン生地を「カルダモンと粒砂糖」で北欧風にするイメージで楽しめます。
- カルダモンは仕上げに挽く:できればホール(緑のさや)を買い、使う直前に種を挽くと香りが格段に良くなります。粉末なら、香りが飛びやすいので新しいものを少量ずつ。
- 三つ編みで本場らしく:生地を3本に分けて編むと、プッラらしい姿に。難しければ2本編みからでもOKです。
- 卵を塗ってつやと焼き色を:焼く直前に溶き卵を塗ると、つややかな黄金色に。粒砂糖(あられ糖やザラメで代用可)とアーモンドスライスを散らします。
- コーヒーや紅茶と一緒に:本場はコーヒーが定番ですが、カルダモンの香りは紅茶ともよく合います。午後のひと休みのお供にどうぞ。
焼成温度や時間はオーブンによって変わります。表面が濃くなりすぎる場合はアルミホイルをかぶせて調整してください。
