イギリス・ウェールズの伝統的なお茶のお供が「バラブリス(Bara brith)」です。ウェールズ語で「斑(まだら)のパン」を意味し、その名のとおり、生地いっぱいに散ったドライフルーツが斑模様をつくります。紅茶に一晩浸した果実をたっぷり練り込んだ、パンとケーキの中間のような素朴な一品です。この記事では、バラブリスとは何か、名前と歴史、そして「パンかケーキか」という作り方の違いを、出典を確認しながら整理します。
バラブリスとは何か
バラブリスは、ドライフルーツとスパイスをたっぷり加えたティーブレッド(お茶のパン)です。しっとりと密な生地に、レーズンやカレンズなどの干し果実が点々と散り、ほんのり甘くスパイスが香ります。
パンとケーキのちょうど中間のような存在で、薄くスライスしてバターを塗り、紅茶と一緒にいただくのが定番。ウェールズの家庭やティールームで、長く親しまれてきた焼き菓子です。
図:バラブリスの特徴
名前の意味と歴史
「バラ(bara)」はウェールズ語で「パン」、「ブリス(brith)」は「斑の・まだらの」という意味です。生地のなかに干し果実が点々と散る様子を、そのまま名前にしたものです。
バラブリスの歴史は古く、少なくとも18世紀にはさかのぼるとされます。かつては農家のごちそうとして、パン生地に余りの果実や砂糖、スパイスを混ぜて焼かれていました。紅茶に果実を浸す作り方が広まったのは、紅茶が家庭に行き渡ったことと関わりがあると考えられます。
図:名前の成り立ち
パンかケーキか — 二つの作り方
バラブリスには、大きく二つの作り方があります。
ひとつは伝統的な酵母パン式。イーストでふくらませたパン生地に、果実やスパイスを練り込んで焼きます。もうひとつは現代的なケーキ式で、ふくらし粉入りの小麦粉(セルフレイジングフラワー)を使い、前夜から紅茶に浸しておいたドライフルーツを混ぜて焼きます。
果実を一晩紅茶に浸すのは、どちらの作り方にも共通する大切な工程です。果実がふっくらやわらかく戻り、紅茶の風味が生地全体に行き渡ります。
図:二つの作り方
日本の家庭での活かし方
バラブリスは、紅茶とドライフルーツがあれば、家庭でも気軽に楽しめます。
- 果実は前夜から紅茶に浸す:レーズンやカレンズ、ミックスフルーツを、濃いめに淹れた紅茶に一晩浸します。ふっくら戻り、風味も豊かになります。
- パン式かケーキ式かを選ぶ:手軽に作るならベーキングパウダー入りの薄力粉でケーキ式、しっかりパンとして作るならイーストの酵母パン式で。
- スパイスで香りづけ:シナモンやミックススパイスを少々加えると、より本場らしい香りに。
- 薄切りにバターを塗って:焼き上げて少し置き、薄くスライスしてバターを塗ると、お茶のお供にぴったりです。日もちもするので、作り置きにも向きます。
オーブンや型によって焼き時間は変わります。中心まで火が通っているか、竹串を刺して確認してください。
