パン作り

湯種食パンのレシピ|配合と工程表つきで、もちもちを最大にする

2026年09月22日 読了時間 約7分
木の皿に並んだ、きめの細かい白い食パンのスライス

湯種を倍にすれば、もっともちもちになるはずだ。そう考えて粉の半分を湯種に回した食パンは、たいてい型の半分で止まります。

湯種はたしかにもちもちを生みますが、増やせば増やすほど効くたぐいの技ではありません。膨らみと引き換えなのです。この記事では、1斤型ぶんの配合をベーカーズパーセントで示し、こねから焼成までの工程表にまとめたうえで、湯種の割合と熱湯の温度という二つの勘どころを紹介します。

湯種は「入れるほどもちもち」ではない

湯種のもちもちは、熱湯で糊になったデンプンが水を抱え込むことから生まれます。ところが同じ熱湯が、グルテンのもとになるたんぱく質の力も奪ってしまう。湯種に回した粉のグルテンは、もう膨らむ仕事をしません。割合を増やすほど、生地は伸びにくく、焼き上がりは目が詰まって重くなります。

作り手たちが示す目安はおおむね一致しています。

  • 標準は全粉の15〜20%。多くても30%まで
  • 20〜30%の範囲で調整するとよい、という指南もある
  • 40%を超えると、はっきり膨らまなくなる
  • 逆に少なすぎると、ふつうのパンとほとんど変わらない

下は「意味がない」、上は「膨らまない」。挟まれた適正域の真ん中が、だいたい20%です。実際、市販の材料店が出している湯種食パンの配合を見ると、1斤でも1.5斤でも、湯種に回す粉はきっちり全粉の20%になっています。街に高級食パンの店が並んだころに広まったあの食感は、粉の半分を熱湯で潰して手に入れたものではありません。20%という、ずいぶん控えめな数字の上に乗っています。

熱湯を注ぐだけでは、温度が足りないことがある

もうひとつの勘どころが温度です。デンプンが糊になりはじめるのは65℃を超えたあたり。しっかり糊化させるには70℃前後が要る、という説明が一般的です。

ここで計算を一度してみてください。98℃の熱湯と、25℃の粉を同じ重さで混ぜたら、単純平均で61.5℃。65℃にすら届きません。「沸かしたてを注いだのに、なんだか粉っぽい」の正体はこれです。

だから対策は二つ。熱湯を粉より多めにして熱量を稼ぐか、器のほうを温めておくかです。

  • 熱湯は湯種の粉の1.5〜2倍を目安に。粉50gなら熱湯75〜100g
  • ボウルに熱湯をまわしかけて温め、湯を捨ててから粉を入れる
  • ポットの保温湯ではなく、沸かしたてを一度に注いで手早く練る
  • 粗熱が取れたらぴったり包み、冷蔵庫で12時間ほど休ませる

ひと晩おいた湯種は、白かった塊がうっすら半透明になり、引っぱるとみょーんと伸びます。この伸びが出ていれば、糊化は成功です。湯種そのもののしくみは湯種製法の基本にまとめてあります。

1斤型ぶんの配合

粉の総量250g、そのうち50g(20%)を湯種に回します。パーセントはすべて総粉量250gに対する数字です。

  • 湯種:強力粉50g(20%)、熱湯75g(30%)
  • 本ごね:強力粉200g(80%)、水125g(50%)
  • 砂糖18g(7.2%)、スキムミルク8g(3.2%)、塩4.5g(1.8%)
  • インスタントドライイースト3g(1.2%)、無塩バター20g(8%)

総加水は熱湯と水を合わせて200g、80%になります。ふつうの食パンなら手に負えない数字ですが、その3割は湯種が抱え込んでいるので、こねているあいだの生地はしっとり重い程度でおさまります。バターは生地がつながってから入れる、いつもの順番で構いません。

こねから焼成までの工程表

こね上げ温度は28〜30℃をねらいます。一次発酵は35℃で40〜45分、生地が2倍になるまで。ベンチタイムは15分。型に入れたあとの二次発酵は35℃で90分ほど、焼成はフタをして200℃に予熱したオーブンを190℃に下げ、30分です。

工程 温度 時間 見きわめ
湯種を仕込む 沸かしたての熱湯 練り5分+冷蔵12時間 半透明になり、みょーんと伸びる
本ごね こね上げ28〜30℃ 15〜20分 薄い膜が張る
一次発酵 35℃ 40〜45分 2倍にふくらむ
ベンチタイム 室温 15分 丸めた生地がゆるむ
成形・型入れ 室温 10分ほど 1斤型(フタつき)に収める
二次発酵 35℃ 90分 型のふちの3cm下まで
焼成 200℃予熱から190℃へ 30分 フタをしたまま焼く

二次発酵だけは、時計より高さで見る

この工程表でいちばん長いのが二次発酵の90分です。長すぎると感じるかもしれませんが、湯種入りの生地は伸びが鈍いぶん、ここで待たないと角が立ちません。目安は型のふちの3cm下。フタなしの型なら9分目まで、と言われます。

時間はあくまで目安で、正解は高さのほうにあります。室温が低い冬は90分でも届かないことがあるので、届くまで待つ。この一手間を惜しむと、せっかくの湯種が「膨らまない原因」に見えてしまいます。1.5斤型で焼くなら、一次発酵を30℃で60分、二次発酵を36℃で50〜60分にして型の9分目まで、焼成は200℃で40分という組み方もあります。

つまずきやすい場所と、その直し方

  • 湯種がだまになって粉っぽい。温度不足です。熱湯を粉の1.5〜2倍にし、ボウルを先に温める
  • 型の半分までしか上がらない。湯種の割合が多すぎます。20%まで戻す
  • もちもち感が弱い。湯種の休ませが短いのかもしれません。冷蔵で12時間おく
  • 生地がべたついて成形できない。湯種の粉と熱湯を総量から引かずに上乗せした可能性が高い。粉250g、水200gの内側で組み直す
  • 角が丸いまま焼き上がる。二次発酵が足りていません。3cm下に届くまで待つ

湯種食パンの手間は、前夜の5分と、翌日の待ち時間90分。その二つさえ守れば、あとはいつもの食パンです。焼けた翌日、冷めたまま切ってみてください。パン切り包丁がすっと入って、断面がしっとり光っていたら、20%の湯種はちゃんと仕事をしています。

参考情報源

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